30のきのっぴー

プリプリは私が3才になる年に既に解散していましたが、中学生の時に母の実家でプリプリのアルバムを録音したカセットテープを見つけ、自室のコンポでいくつかのアルバムを聴きあさりました。 カセット特有の少しざらついた雑音が混じる中に心地よく溶け込むアコースティックギターのイントロ、そして他の曲にはあまり感じられない香ちゃんの淡々とした語りのような歌声に心を奪われました。 ハッとして手書きで記された曲目を見ると、「SHE」とありました。 歌詞カードはなかったけれど、曲を流しながら一緒に口ずさむうちにだんだんと覚えていき、情景を頭に浮かべながら曲中の「SHE」に何度も思いを馳せました。 少女だったわたしは、切ないメロディとストーリー、そしてその音のざらつきに、不器用な自分自身を重ねていたように思います。 大人になってからプリプリの中古アルバムCDを買って「SHE」を聴き、今ではサブスクでいつでも聴けるようになりました。 だけどやっぱり、当時のざらついたパチパチ音とともに聴こえる甘く物悲しいギターの音色を今でも忘れることができません。

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