帰社の目

2011年のライブCDで初めて聴いたのは中学3年生の夏休みだった。 サビに出てくる“High school jail”の “jail”の意味もよく分からないまま妙な高揚感のあるリズムに魅せられた。「単車」も「ディスコ」も「喧嘩」も「街の女たち」も関係ない片田舎の中学高校生活だったが、通学の電車の中や受験勉強の合間に聴いていた。 浜田は終盤で「教科書から削る文字は/他にもあるぜ/例えば正義/たとえば希望/数えきれない」と歌う。 学生の頃は「教科書」を世の中の不都合を教えない教材という文字通りの捉え方をしていた。いざ社会に出てみると、この「教科書」というのは仕事をして生活していくあらゆる場面で我々が突きつけられる規範そのものだと気付いた。 なるほどこの歌はただの高校生の嘆きではないんだな、と気づいた頃、僕はもう高校生ではなかった。

投稿されるユーザーについては、利用規約に同意したものとみなします