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2017年の夏、私は癌の宣告を受けました。鳩尾から恥骨まで、男性の拳ほどになった卵巣を摘出のために開いた長く大きな傷は、右と左、私を真っ二つの人間にわけてしまったようにさえ感じました。
抗がん剤治療のために、繰り返し入院する女性ばかりの病棟は、好きな歌手やスポーツ選手、推しメンの話題と、お菓子の山で賑やかです。化学療法のためにすっかり抜け落ちてしまった髪を隠す為の可愛い帽子や、ウィッグの話が、驚くほど明るく賑やかに交わされています。
やがて真夜中。夜な夜なカーテンの向こうからは、お煎餅をかじる音と一緒に啜り泣く声が聞こえてきます。彼女のステージは4だと聞きました。
私は暗闇の中で、しっかりとイアホン耳にして、大好きな省吾さんの声にボリュームをあげました。
"どんなに遠くても、たどり着いてみせる♪"
うちに帰ろう。
どんなに遠くても。
家族の待つその家に。
まき
2024/08/02
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