pockey

3つの頃からの幼馴染の彼。 小学生の頃、早朝からラジオ体操に行きスタンプをもらって、蝉取りにいって、ピアノ教室の時間までちょっと別々。 ありったけのお小遣いをだしあってさぼってたこ焼きを食べたあの頃。 それから別々に進学して、別々の分野へ歩き始め、誰かを愛し過ごしてきたけども、 50歳をこえた同窓会の冬の日、会場となる都内のホテルでコートを手に受付をしている彼を見つけると一目でわかった。 かける言葉を失い、視線を感じたのか、見つめあい「ミーちゃん!」と、ひとこと。 「トモ、ミー」と呼び合ったあの頃に引き戻された一瞬。 結局、その夜、ふたりだけで、思い出話しに話しが弾み明け方近くまで過ごした。 時折みせる年月が刻んだ疲れを横顔に感じながらも、時を忘れて過ごした夜。 何も深くは聞かず、いまだに白衣姿を見たこともないけども、彼の医者としての忙しい日々や苦悩も言葉やしぐさから感じた。 強がりの私のこれまでの日々の諸々もお見通しのような目で、ふと懐かしいあの頃を思い浮かべるような目で暖かく見つめる彼。 いたわるように手を重ね、大事な2人だけの夜。 「いまでも、ミーちゃんのことは忘れたことはないよ」と、触れ合った夜。 「今はもう、お医者さんごっごでないね」って冗談みたいに照れる私を引き寄せる彼。 あの場所に、心だけはおいてきた。

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