SEN

18歳、田舎の短大で寮に入っていた私は休みの日もすることがなく4人部屋のベッドでラジオ等を聞いたりしていることが多かった。 ある日さすがに毎週聞いているラジオのチャート番組にも飽きて、隣の寮生の部屋でゴロゴロしていた。 その部屋の子はラジオではなく1本のカセットテープをエンドレスでかけていた。 聞いたこともない曲だったので気にすることもなく他人のベッドに寝っ転がっていると…突然、それは本当に突然不意に私の心にガンっと入ってきた。 その曲だけが聴こえた?心に届いた? あの時のことを言葉にするのは非常に難しい。 「なんて曲!」聞いたことのないかっこいいメロディー「これだよ!」 友人が教えてくれた曲名は“東京” 「次は歌詞をちゃんと聞きたい。だってあの曲に合う歌詞っていったら…」 カセットはオートリバースでA面に戻ってきた。 “東京”が始まった。 「そうだよ。この曲にはこの歌詞じゃないと」 詞の一言も浮かんでないのに私が心の中で感覚として作ろうとしていた詞にピッタリはまった。 「私、こんな曲が聞きたかったんだ。こんな曲が好きだったんだ」 「やっと巡り会えたね」 それからは落ち着いて他の曲をゆっくり聞いた。 私史上最高のアルバム。 多分18歳というあの時期、あの時代、あの瞬間でなければロックを知らなかった私は彼の歌をキャッチすることは出来なかっただろうと思う奇跡なのです。

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