haru

 1990年4月、高校生になったばかりの私は別の中学から来た一人の女の子に声を掛けられました。わざわざ私の机の前に来てくれて。  その頃私の心は深い霧で覆われていました。自分の出過ぎた行動によって片思いしていた初恋の子を怒らせてしまい、詫びの一言も言えないまま中学校を卒業し離れ離れになったことを強く後悔し、高校進学後も引きずっていました。そんな中新たに出会った女の子はその後も積極的に話しかけてくれて、接していくうちにモヤモヤしていた心が少しずつ晴れて6月後半には完全に吹っ切れました。  今度こそ付き合いたい。でも同じ過ちは繰り返したくない…。何でも話せる親友がいなかった私は誰にも相談できず悩んでいたとき、一年振りとなるTM NETWORK待望のニューシングル「THE POINT OF LOVERS' NIGHT」を聴いてハッとしました。そうか、“君がもし僕を必要ならば…”と考えたらいいのか、…と。  その後も彼女は私とホントに親しくしてくれました。それは二年生になり別々のクラスとなっても変わりませんでした。ただ彼女は私を“友達”としか思っていないことも薄々気づき始めていたけれど。そして気がつけば高校生活も残り半年。当時は個別で携帯電話を所持する時代じゃなかったから卒業したら疎遠になってしまうことは確実でした。私は一人で何日も考え悩み抜いた末、彼女に面と向かって本当の気持ちを伝えました。    貴女と出会ってから本当にいろいろなことがありました。楽しかったこと。嬉しかったこと。驚かされたこと。些細な夢を叶えてくれたこと。  …でも貴女はもう、心に決めた素敵な男性とともに幸せになろうと二人で寄り添いながら“歩き出して”いたんだね。  最後は辛い結果になったけれど、それも含めて貴女と共有できた時間は一秒も残らず全て私の大切な、大切な宝物です。  たくさんの思い出を作ってくれて、本当にどうもありがとう。

投稿されるユーザーについては、利用規約に同意したものとみなします