kankan

16歳の春・高校2年になり、クラス替えで同じクラスになり突然話しかけてきたY君。 「佐野元春のナポレオンフィッシュアルバム最高だから聴いてみて!」と渡されたカセットテープ。 今思えば○○アルバム~という呼び方は佐野さんそのもの。彼は相当な元春フリークだったのかもしれない。 アルバム発売から2年弱経った頃だった。(『Sweet16』がリリースされる直前) 人の薦めなので気乗りしないまま再生。そして「おれは最低」で停止ボタンを押した。 正直ボーカルも好みではなかった。 それから時が経ち2020年。何気につけていたテレビのバラエティ番組で観た佐野元春。 「ハヤブサジェットに改名したい」 このセンスにとてつもなく惹かれた。 歌詞が嘘っぽくて何となく嫌いだった「SOMEDAY」も、この人から出てくる言葉ならば本物なのだろう!と慌てて調べた。 時はパンデミックに突入。 社会人になってからは音楽からは離れてしまったが、自粛モードで手にした時間で佐野元春を聴いてみた。 心に刺さった。揺さぶられた。 詩もボーカルも演奏も全て今の自分が求めていたものだった。 それまではライブに行くのも嫌だったが行ってみたくなった。 40周年の武道館では1曲目から立て続けに『ナポレオンフィッシュ』アルバムから3曲が続く。 30年前「おれは最低」でカセットテープを止めたため、アルバムの曲順ではそのあとの「ジュジュ」を当時は再生することがなかった。それを40周年の武道館で初めて聴いた。 軽快なテンポ、コヨーテの演奏。たまらなく好きだ。 30年前の自分からは考えられないくらい全身で楽しんだ。 Bitterな16歳の思い出が一気に湧き上がってきて涙が出た。 それからはもう止めることなく佐野さんの音楽と共に生きている。 今は高校生の時の青春の続きを楽しんでいるようだ。 あのとき僕に佐野元春を薦めてくれたY君はどうしているだろうか。 今更ながら「ありがとう」と言いたい。

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ゴールデンチャイルド

Y君が今も佐野元春を聴き続けていてくれるといいなぁ…と横から勝手に思ってしまいましたヨ💝